服のチカラ。

土曜の会社はみんなお休みで父と母と3人の時間。

 

お茶しながらたわいもない話をしたり、一見非効率な時間ですが、スピードを緩めて過ごすこの時間は、こんなのやりたいなぁ…というインスピレーションも与えてくれます。

 

そんな今日の昼下がり、久しぶりに父がミシンを使っている姿を見て思い出したこと。

(自分のズボンかいっ!)

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中学に入学して、私は宝塚を真似する歌劇部という部活に入りました。

衣装は、みんな自分で作るという鉄則なのですが、フリルの着いたドレスの写真を前に茫然としていました。

 

そして、先輩に連れていってもらい材料を買いに行き、自分で作る!!と意地を張って部屋を裁縫道具で荒らしていたところ、普段無口な父が「できるわけないだろ」と私を端に追いやり、黙々と生地を手に取りお裁縫を始めたのです。

 

数日後その出来上がった衣装たちは、黙って私の部屋においてありました。

 

当時、先輩は夜なべして作ってる中、親に作ってもらったと言えず(^_^;)

そんなモヤモヤから「父が勝手に作った!」なんてことを言ってしまってたけど…

 

ありがとう。

当日、初舞台ですごく緊張してたのに、なぜか衣装を着たらふーっと安心して舞台に立てました。

 

私はあの時、服のチカラを知りました。

 

歳を重ね、下町生まれのぶっきらぼうさと共に少し丸くなってきた父の背中をチラ見しながら、そんな誰かを応援できる服を作りたいなと思った日でした。